40. KREVA - 心臓
Release: 2009
Origin: Japan
Label: Knife Edge
Genre: HIP-HOP
今年9月まで日本語ラップヘッズなのにも関わらず(だからこそ?)彼の音源を敬遠していたのだが、最新作『LOOP END / LOOP START』の完成度に恐れおののき、そのまま彼のソロ作品を一通り聴くこととなった。
ベタ中のベタだが、KREVAファン・日本語ラップヘッズ層の両方から満場一致で傑作認定されている本作がやはり一番好き。サンプリングという手法でもここまでウェルメイドなポップ・アルバムは創れるのだな。
39. …And You Will Know By The Trail of Dead - Source Tags & Codes
Release: 2002
Origin: US
Label: Interscope
Genre: Alternative-Rock/Post-Hardcore/Progressive-Rock
38. PHARAOH - Pink Phloyd
Release: 2017
Origin: Russia
Label: Dead Dynasty
Genre: HIP-HOP/Cloud-Rap
37. Thelonious Monk Trio - Thelonious Monk Trio
Release: 1956
Origin: US
Label: Prestige
Genre: Jazz
36. Loota & Gliiico - Ephemeral
Release: 2021
Origin: Japan
Label: (self-released)
Genre: HIP-HOP
35. Veil of Maya - The Common Man's Collapse
Release: 2008
Origin: US
Label: Sumerian
Genre: Deathcore
ギターリフやビートを矢継ぎ早に切り替えながら最高速度でひたすらブチ抜ける。これを本作の魅力というのも些か言葉不足か。だって、今の言葉こそがヘヴィメタルの基本命題の一つであるからだ。
彼等の比較対象にしばしば挙げられるAfter The Burial・Within The Ruins・August Burns Redだってそうだし、「テクニカル×メロディアス」を特徴とするデスメタル周辺ジャンルのバンドについて語るのならば、Death・Cryptopsy・Nile・Necrophasist辺りのオリジネイターとの比較は避けられない。デスメタル誕生以前にも、Megadeth・Destruction・Coronerなどのスラッシュメタルバンドが複雑に入り組んだリフワークを構築することで、より刺激的な聴き心地を追究してきた。ヘヴィメタルというジャンルの歴史を長い目で見れば、彼等だって「時代の要請に応えて生まれた技巧派バンド」の一つに過ぎない。でも、僕は信じているんだ。本作は10~20年後、シーンのテクニックの水準が上がろうと時代の流れに耐え得る傑作であるとね。
このバンドのアイデンティティは、緊張/弛緩を操る手腕の卓越ぶりにある。彼等はMeshuggahをはじめとする00年代技巧派メタルバンドの洗礼をモロに受けており、硬質なサウンド・プロダクション下で複雑怪奇なリズムをこれでもか刻んでいく。そしてもちろん、無味乾燥な技巧の披露に終始することなく、そこかしこに絶品のギターメロディを忍ばせてくる。しかし、彼等はこのメロディセンスが少々厄介なのだ。
メタルバンドの紹介文にしばしば用いられる「メロディアス」という言葉は欧州経由のクラシカルな傾向であることが殆どだが、彼等は端的に言ってしまえばエモい、パンク/ハードコアを出土とする青臭いフレーズを躊躇無く投入してしまう。
いかにも生真面目で几帳面な演奏ぶりに感心していたら、突如として有機的で人懐っこい一面を露わにしてくる。無機的なサスペンスの連続が脈略無くぶった斬られ、俗っぽいメロドラマで締め括られる。この梯子を外すような感覚が堪らない。
ヘヴィメタル史に忠実な音楽性がベースにありながら、ルーツの外部にあるポップセンスを活かすことも全く厭わない。この形振り構わない姿勢はまさに00年代以降のメタルシーンならではのものだ。この若き青年4人による敬虔さと無邪気さの結晶を、是非君も手に取ってみてほしい。
34. Gavin Bryars - The Fifth Century
Release: 2016
Origin: UK
Label: ECM
Genre: Classical
33. Sam Cooke - One Night Stand! - Live at the Harlem Square Club, 1963
Release: 1985
Origin: US
Label: RCA
Genre: Soul
32. 坂本龍一 - async
Release: 2017
Origin: Japan
Label: commmons/Milan/C&L Music
Genre: Ambient
31. Memphis May Fire - Memphis May Fire
Release: 2007
Origin: US
Label: Trustkill
Genre: Post-Hardcore/Metalcore/Southern-Rock
「Metalcore/Southern-Rock」という想像の付かないジャンルの並びにご覧の方々は皆たじろいでいるハズだ。再生してみてさらに驚愕!言葉通りの音像が飛び出てくる。
彼等の音楽性は「00年代前半に流行したスクリーモ/ポスト・ハードコア系サウンドを基礎にブルージーで乾いたギタープレイを組み込んだもの」とも「ハードコア・パンク/ストーナー・ロックというジャンル内で脈々と受け継がれてきたルーツ・ミュージックのエッセンスをポップに出力したもの」とも説明できる。どちらにせよ、一般的に渋い・伝統的という形容詞をもって語られる音楽要素を、彼等はこうも若々しいセンスで振り回してみせる。温故知新の精神の正しい体現者だ。
その後の彼等はボーカル交代やレーベル移籍などを経て、2ndアルバム『The Hollow』以降はサザンロックのエッセンスを抑え、より現代的でオーソドックスな方向性に舵を切ってしまう。シーン最前線で活躍する現在の彼等を批判するつもりは毛頭無いが、彼等が初期の革新性を保ったまま活動を続ける″if″の世界を想像してしまうよね……。
30. Скриптонит - Дом С Нормальными Явлениями
Release: 2015
Origin: Russia
Label: Gazgolder
Genre: HIP-HOP
10年代ロシア語ヒップホップシーンにおける代表的アルバムのひとつ。11月頃に不意に「ロシア語でラップしたらどうなるんだろう」という疑問が芽生え、Apple Musicのカテゴリ「ロシアンヒップホップ」から発見したのが出会いだ。どうやらシーンの重要作が連発されたのは10年代中盤辺りのようで、僕は完全に流行に周回遅れらしいな。
僕のdig範囲が狭すぎるのか、それともシーンで脈々と受け継がれている特色なのか、この国のヒップホップはどれも仄かにゴシックな薫りが漂う。彼は古典的ブレイクビーツからトラップ、バンド生演奏など幅広いタイプのビートを自在に乗りこなしてみせるが、そのどれもが陰鬱で密室的に響く。
29. Bobo Stenson, Anders Jormin & Paul Motian - Goodbye
Release: 2005
Origin: Sweden
Label: ECM
Genre: Jazz
名目上はBobo Stensonのリーダー作ではあるが、作曲は残りのメンバー2人およびカバー曲が主体となっている一作。嫋やかなタッチのピアノと抑制の効いた繊細な金物遣いが、辺りの空気をスッと引き締めてくれる。チルアウト・ミュージックとして今年はよく愛聴した。
28. Emperor - Prometheus : The Discipline of Fire & Demise
Release: 2001
Origin: Norway
Label: Candlelight
Genre: Progressive-Metal/Symphonic-Black-Metal
27. Kayo Dot - Hubardo
Release: 2013
Origin: US
Label: Ice Level
Genre: Avant-garde-Metal/Experimental-Rock
ニューヨークという都市が育んできた前衛ロック/フリージャズ/ノーウェイヴなど前衛的な音楽表現が、90~00年代メタル/ハードコアのテクスチャーと衝突して誕生した2枚組の巨大怪物。無尽蔵に蓄積された音楽素養がドス黒い音壁になって僕らの前に立ちはだかる。
プログレッシヴ・ロックやヘヴィメタルの文脈で彼等に辿り着いた4年前の頃は「なんて″異端″なバンドなんだ!」と彼等に心酔していたけれども、ニューヨークという前衛芸術の拠点の歴史をちょいと俯瞰して考えてみれば、彼等は至って″伝統的″な存在とすぐに分かるハズ。だからガッカリしたというワケではなく、むしろあらゆるエクストリーム・ミュージックを統合せんとする意志の崇高さにより愛着が増したよ。
26. Herbie Hancock - Empyrean Isles
Release: 1964
Origin: Japan
Label: Warner Bros.
Genre: Modal-Jazz
25. Arve Henriksen, Hilmar Jensson & Skúli Sverrisson - Saumur
Release: 2016
Origin: Norway/Iceland
Label: Mengi
Genre: Future-Jazz/Ambient
24. Botch - We Are The Romans
Release: 1999
Origin: US
Label: Hydra Head
Genre: Mathcore/Metalcore
カオティック・ハードコア/マスコアというジャンルの話題となれば真っ先に挙がる代表作。奇数拍子を刻みながら蟠を巻くグルーヴには技巧的な饒舌さよりもまず唯ならぬ迫力を覚える。いくら構成力とアイディアに富んでいても、「プログレッシヴ」という形容詞を与えるには些か音が分厚すぎるんだよ。
23. D'Angelo - Brown Sugar
Release: 1995
Origin: US
Label: EMI
Genre: Neo-Soul
ネオソウル・ムーヴメントの寵児となった歴史的名盤でありながら、 2nd『Voodoo』・3rd『Black Messiah』というさらに規格外の超名盤2作のせいで影に隠れてしまっている印象の一作。僕も例に漏れず、本作は他2作ほどは聴き込んでこなかったタチだ。そんでもって再聴したら、案の定一切隙の存在しないクオリティに恐れ戦いた。
本作は後年の2作に比べてメロディアスでマイルドな音像であり、全編気軽に聴き通し易い仕上がりだ。とはいっても、本作の時点でジャズ~ファンク~ヒップホップの長大な歴史を総括した音楽性は既に確立されており、その極上のプロダクションを理解しようと耳を澄ませた瞬間に底無し沼へとズブズブ溺れていく。
22. THE NOTORIOUS B.I.G. - Life After Death
Release: 1997
Origin: US
Label: Bad Boy/Arista
Genre: HIP-HOP
死の直後に発表された2枚組の大作。東西抗争の瞬間に立ち会った者達にとってはどれほどの衝撃だったか知る由もないけれど、僕世代にとっての『XXXTENTACION - ?』や『Pop Smoke - Shoot for the Stars, Aim for the Moon』のようなムードだったのだろうか。(いずれにせよ、若き表現者の訃報は胸が抉られるような感覚だ。)
後追い世代の僕にとってビギーは遠い存在であって、ヒップホップ史へのリスペクトはあっても彼個人への想い入れは薄い。本作を愛聴している理由も純粋に楽曲が気に入ったからだ。『Hypnotize』『Ten Crack Commandments』などのギャングスターな一面を押し出したナンバーはもちろん、ゲストシンガーを迎えたR&Bテイストのメロウ・ナンバーがどれも珠玉の出来。『Sky's the Limit (feat.112)』のリリックを読み返すと僕も「頑張んなきゃな」と思える。
21. Ricardo Villalobos & Max Loderbauer - Re:ECM
Release: 2011
Origin: German/Hungary
Label: ECM
Genre: Minimal
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