カヤマのブログ

カヤマ・2019年1月のまとめ

皆様どうも、カヤマです!

今月は新たな一年の始まりということで、いつもよりも慌ただしい私生活を送っておりました。はぁ…こうやってのんびりブログが書ける環境に戻ってこれてよかったよ。。。

さて、今月の僕の音楽鑑賞量は全111作品・合計165回でした。音楽への興味が薄れていた去年末と比べて大きく増加。(去年11月・12月は110枚程度)今年はなかなか快調なスタートを切れたんじゃないかしら…?

中でも特に気に入った13枚について、ここで軽くお話ししていきましょうか。まぁ、ほとんどが旧譜なんだけど。

 

では。

 

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Arvo Pärt - Für Alina

Pärt: Für Alina

Pärt: Für Alina

  • アレクサンダー・モルター, Dieter Schwalke, セルゲイ・ベズロードヌイ & ウラディミール・スピヴァコフ
  • クラシック
  • ¥1600

Release:Estonia/1999/ECM New Series

Genre:Classical


現代音楽界の巨匠による代表作。「いつまでもクラシックを聴かないままではアカン」という焦燥感から聴き漁った作曲家の中でも、特に気に入ったのが彼だ。邪道な入門法かもしれないが、教科書レベルの作曲家よりも先に僕はECM New Series関連作品から手を付けていこうかな。

 

 

Bring Me The Horizon - amo

amo

amo

  • Bring Me The Horizon
  • ロック
  • ¥1600

Release:2019/UK/Sony/RCA

Genre:Alternative-Rock/Electronic-Rock


もはや説明不要の域にまで達したUK出身5人組バンドの6th。ニューメタル・ヒップホップ・ダンス/クラブミュージック・ポップスがひとつに交わる"2019年のスタジアム・ロック・アルバム"。バンドサウンド解体&エレクトロ化を推し進め、“心の闇”や“どのジャンルにも属せない苦しみ・属さない覚悟”を歌詞に込めた、反骨精神と開拓精神の塊のような作品だ。窮屈なロックシーンから逸脱して更なる高みへと向かう、今の彼等のアティチュードを「ロック」と呼ばずして何と呼ぶか!メタル/ラウドロックシーンから音楽シーン全体に照準を向けた前作『That’s the Spirit』も衝撃的な一枚であったが、今回も劣らぬ話題性と完成度。


また、本作自体の話題から逸れるのだが、僕は本作に触れて「“メタル”自体は案外聴く者を選ばない音楽であって、互いのファンやミュージシャンが無意識に壁を感じているだけなのでは?」と考えさせられもしたり。普段Frank OceanやTravis Scott等を頻繁に聴くR&B/HIP-HOP系リスナーの一部が、本作を通して『Pray For Plagues』に辿り着いた光景を僕自身も何度か目にしたものでね……。某フォロワーさんの「本作で試みられているのは“メタルの拡張”ではなく“ポップス”の拡張」という言葉も、この現象を簡潔に表しているかと。

一メタルファンとして、本作を通して「ヘヴィな“ロック”って案外カッケーじゃん」と感じてくれる音楽ファンが増えていくのは嬉しい限りだ。

(“ヘヴィなロック”は今やメタル/ハードコア等の専売特許ではない、という話はさておき)

 

 

DIMLIM - CHEDOARA

CHEDOARA

CHEDOARA

  • DIMLIM
  • ロック
  • ¥2400

Release:2018/Japan/DUM LABEL.

Genre:V-ROCK/Progressive-Metalcore


メンバー2人脱退という逆境から見事復活を遂げた、5人組V系メタルバンドの1st。去年の発売時からヘビロテしていたのだけれども、ちゃんと語るのはコレが初めてかな。

彼等の音楽性をザックリと表現すれば「DIR EN GREY×Progressive-Metalcore(ERRA・Oceans Ate Alaska・The Afterimage等)」。どうやら彼等は自身の音楽ルーツを隠すつもりは無いようで、楽曲でもインタビューでも影響の吐き出し方はとてもストレート。

それでいながら、「DIMLIMのアイデンティティ」も既に見出しているのが超クール。具体的に言えば、DIR EN GREYの「ボーカルワーク」「適度に隙間を活かした曲構成」「ヌルリと移り変わる静→動の展開美」「和風メロディ」とProg-Metalcoreの「音粒の揃った無機質&繊細な演奏」「アンビエント/ポストロックを通過した透明感」を溶かし合わせて生み出した、独特の“和洋折衷”感が彼等の揺るがない個性。「好きなモノを足して二で割りました」レベルに踏みとどまらず、「本家をリスペクトした上で超えてやろう」という熱意と野心が随所からビシバシ溢れ出ているのだ。コイツは胸が熱くなるぜ・・・!

 

 

Jacob Collier - Djesse (Vol.1)

Djesse (Vol. 1)

Djesse (Vol. 1)

  • ジェイコブ・コリアー, メトロポール・オーケストラ & ジュールス・バックリー
  • ジャズ
  • ¥1300

Release:2018/US/Decca

Genre:Nu-Jazz/Neo-Soul/Classical


YouTubeから彗星の如く現われた、弱冠24歳の天才ボーカリストマルチプレイヤーによる2nd。イングランド出身の指揮者Jules Buckley・オランダの交響楽団Metropole Orkestと共同制作と行った、4部構成からなるコンセプトアルバムシリーズの第1部だそうな。僕が彼の存在を知ったのはつい最近のことだったのだが、凄まじい衝撃を受けさせられた。まさに「天才」という言葉が相応しい…何故今まで僕は彼に辿り着けなかったんだ……。


この作品をあえてジャンルで括るのなら、現代ジャズ/ネオソウル辺りになるだろうか。(そもそも現代ジャズもネオソウルも、過去の単語で語れないオルタナティヴな音楽をまとめた“具体性の薄いジャンル”なのだが)D’Angelo以降定番となった弾力性バツグンの生演奏低音ビートを効かせながら、底抜けに明るいメロディーに乗せて予測不能の展開を連発する、カテゴライズ不能のポップミュージック。また、楽曲自体だけではなく演奏も非常に魅力的。各楽器が“自己表現の道具”として完結せず、まるで多人数で演奏しているかのように各パート同士の駆け引きがある。彼は我が身一つで「バンドマジック」を巻き起こしているのだ。何たる所業!

そして更に今作ではコラボアーティスト達の手によって、よりシンフォニックかつ映画的な仕上がりに。無尽蔵の音楽語彙を駆使し、ディズニー映画のような「全てを包み込む“夢の世界”」を描き切る、前代未聞の一枚となっている。これほど濃密な作品がセカンドアルバムとはとても信じ難いな…。


本作だけでも語り尽くせぬほどの情報量が込められているのだが、先にも申し上げた通り、これはあくまで4部作の第1章。“プロローグ”に過ぎないのだ。Jacob Collierという男も『Djesse』という物語も、進化の余地を無限に残している…。彼はこれから一体どれほどまでの高みへ登っていくのだろうな。

 

 

JON HASSELL - Last Night the Moon Came Dropping Its Clothes in the Street

Release:2009/US/ECM

Genre:Jazz/Ambient


アンビエント/ミニマル音楽の始祖である、アメリカ出身トランペッターの9th。彼の代名詞であるインド音楽由来の土着的雰囲気はアクセント程度に留め、ECMのレーベルカラーに合わせた静謐さを押し出した作風。やはり彼の代表作となると『Powerspot』・Brian Enoとの共作である『Fourth World』辺りになるのだろうが、僕にとってはアクの少ない本作が一番馴染む。

 


Leprous - Malina

Malina

Malina

  • Leprous
  • メタル
  • ¥1600

Release:2017/Norway/InsideOut

Genre:Alternative-Rock/Progressive-Metal


ノルウェーの5人組プログレッシヴ・メタルバンドの5th。「メタル」「プログレ」「ポストロック」等の枠を飛び越えた、現代型アート・ロックの傑作。去年のリリース時も衝撃的だったが、数ヶ月振りに聴き返して「コイツはヤベェな」と改めて確信。「メタル出身のカテゴライズ不能ロック」として、Bring Me The Horizon・Deafheaven・Zeal & Ardor等と併せて全音楽ファンに向けて推薦したい一枚だ。


彼等がメタル・シーンで名を馳せたのは元々、伝説的ブラックメタルバンドEmpererの中心人物・Ihsahnのバックバンドに起用されたことがキッカケ。当時はバンドとしても現在よりメタル的な音楽志向であり、歌声だけではなくグロウルも積極的に披露していた。まぁ「メタル」とはいっても所謂ツーバスドコドコなエクストリーム系ではなく、Opeth・Ihsahnソロ・近年のEnslavedに通じる耽美系プログレッシヴ・デスメタル路線。現在には流石に敵わないものの、当時から高い美意識を持っていたことが窺えるだろう。

彼等がメタルからの脱却を試みたのは前作『The Congregation』から。叩きつけるような轟音ギターリフの全てを消し去り、綿密なギター×シンセの絡み・痙攣するかのようなスタッカートのリズム・オペラじみたボーカルが特徴の、ポストロック/人力エレクトロニカ的な音楽性へと突然変異を見せた。

そして本作『Malina』では、前作の流れを引き継いだ上でメロディー成分を増加させ、より間口を広げた音楽性に。言うまでもなく、本作がキャリア史上最高傑作だ。


彼等は現在も精力的な活動を続けており、今年の1月に『Massive Attack - Angel』のカバーを公開したばかり。従来も電子音楽要素を駆使していたが、ここまでトリップ・ホップに振り切れたのは初めてだろう。良い意味で、僕らに次の動向をなかなか読ませてくれないバンドだ。今後も期待大!

 


Metallica - St. Anger

St. Anger

St. Anger

Release:2003/US/Elektra

Genre:Alternative-Metal


説明不要バンドの8th。僕としては、しばしば囁かれる「Metallica版ニューメタル」という例えよりも「MetallicaLed Zeppelin - Presence」と言った方がしっくりくる。やや冗長気味な楽曲を、噛み合っているんだかいないんだか分かんない″生演奏の旨み″で料理するアルバム。昔はかったるいアルバムだと思っていたのだけれど、ここ数日で急に良さが分かるようになってきた。もちろん音源でも素晴らしいが、ライブでこそ真価を発揮するであろう曲が大半を占めている。本作収録曲のライブ音源もぼちぼち集めていきたいね。

 

 

MORRIE - HARD CORE REVERIE

f:id:KayamahMusic:20190201203814j:image

Release:2014/Japan/Nowhere Music

Genre:Gothic-Rock/Progressive-Rock

(各種ストリーミング未配信)


ジャパメタ界の伝説&ヴィジュアル系の直接的ルーツとして知られるバンド・DEAD ENDのボーカリストによる4枚目のソロ名義アルバム。DEAD ENDやCreature Creatureのフロントマンとしての姿からは想像もつかない、ゴシック・ロック/プログレッシヴ・ロック/ハードコア等を織り交ぜた和製アート・ロックを堪能出来る一枚だ。隙間を活かした穏やかなバンド・アンサンブルの上で、MORRIEの歌声・ギター・ピアノ・サックス・バイオリン等の音色が虚空で揺らめき、幽玄な世界観を描き出す。しかしよくよく聴くと、MORRIEが歌い上げるメロディー自体は歌謡的キャッチー性を纏っていることに気づかされる。おかげで聴き込むほどリスナーの耳に馴染んでいく、不思議なバランス感覚にまとまっているのだ。

また、SUGIZO(LUNA SEA/X JAPAN)・青木裕(downy)・仲俣和宏(downy)・秦野猛行・松田"FIRE"卓己・笹渕啓史・yukarie(敏腕スタジオミュージシャン達)・Heather Paauwe(MORRIE氏の妻であるバイオリニスト)という錚々たるメンバーで構成されたバックバンドも本作の大きな魅力。DEAD ENDファンに限らず、LUNA SEAdownyファンの方々も是非。

 

 

The Mount Fuji Doomjazz Corporation - Egor

Egor

Egor

  • The Mount Fuji Doomjazz Corporation
  • エレクトロニック
  • ¥1650

Release:2012/Netherlands/Denovali

Genre:Dark Ambient/Trip-Hop


The Kilimanjaro Darkjazz Ensembleにゲストメンバーを加えた別名義である、8人組・自称″Doomjazz″バンドによる4th。大地を黒く塗り潰すドローン・サウンドの上でギター・ベース・チェロ・トランペット等が不気味に鳴り響く。大人数であるのに、バンド・アンサンブルは宙に浮くような質感。彼等が元々映画音楽畑出身であるというエピソードにも頷けるな。

 

 

Our Hollow, Our Home - In Moment // In Memory

In Moment / / In Memory

In Moment / / In Memory

  • Our Hollow, Our Home
  • メタル
  • ¥1800

Release:2018/UK/Hollow Music

Genre:Metalcore


UKメタルコアバンドの2nd('18年作)。「メタルコア」という枠を拡張するような作品ではないのだが、その枠内であらゆるバンドが積み上げてきた歴史を一つに集約したかような作品。エモ&クサメロ&ブルータル&シンフォニック&アンビエント…詰め込み過ぎ!2019年の今、もし誰かから「メタルコアとはどんなジャンルか?」と問われたなら迷わずコレを差し出せばいい。

 


Periphery - Juggernaut:Alpha

Juggernaut:Alpha

Juggernaut:Alpha

  • Periphery
  • ロック
  • ¥1650

Release:2015/US/Sumerian

Genre:Progressive-Metal

Spotify:未配信)


“Djent”という単語を世界に広めた次世代型プログレッシヴ・メタルバンドの3rd。同時発売された『Juggernaut:Omega』とリンクしたコンセプトアルバムシリーズの前編だ。

本作ではDjent直系の変則リズムワークや技巧派ギターフレーズはほどほどに、ダークファンタジー映画的な世界観&アルバム構成と、Spencer Soteloによる伸びやかなボーカルにスポットライトを当てた作風となっている。

彼等のトレードマークであるテクニカルな要素が削がれているために「佳作」扱いされているが、再評価の余地は大きいだろう。メタルファンはもちろん、エモやプログレ/ポストロック系リスナーにもお聴きいただきたい一枚。

 

 

カプコン - ロックマン2 サウンドコレクション

Release:2016(ゲームソフト発売:1988)/Japan/カプコン セルピュータ

Genre:Soundtrack/Chiptune


ノスタルジーに浸りたいがために聴いた一枚。本作の『メタルマンステージ』はステージ構成・ボス戦・BGM・世界観の全てにおいて、アクションゲーム界最高峰のステージだと思っている。

 

 

椎名林檎 - 勝訴ストリップ

Release:2000/Japan/東芝EMI/Virgin Music

Genre:J-POP/Alternative-Rock


説明不要女性アーティストの2nd。もちろん彼女の存在は認知していたのだけれど、腰を据えてアルバムを聴いたのは今年に入ってから。僕は高校3年生まで「HR/HMとハードコアとプログレは神!w J-POPはゴミw」なんて言っちゃうようなクソガキだったせいで、「J-POP界の実力者達」の大半を聴き込めていないままだったのだ。(お恥ずかしい…)


今更僕が言うまでもないが、本作は「歴史的名盤」という言葉がまさしくピッタリな一枚。何のジャンルが軸にあるだとか似ているだとか、そういった次元の話ではなく“根本的に狂ってる”!!! そして、それでいて一度聴けば“絶対耳に残る歌謡メロディー”ばかり!!!歌謡/ロック/ジャズ/エレクトロニック/シンフォニックな要素が溶け合った、皮肉とアバンギャルドなアイディアを詰め込んだ隙の無いポップアルバム。僕はこんな作品を聴かずに今まで生きてきたとは……。

 

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おまけ

カヤマ・オリジナルソングをつくりました みんなみてね